乳がんは、2010年の女性の罹患率で1位になっています。2013年の女性の死亡率では大腸がん、肺がん、胃がん、肝臓がんに次いで5位となっていて、罹患者数、死亡者数ともに増加傾向になっています。乳がんはどのようながんで、どのような症状があるのでしょう。また、どの科を受診すればよいのでしょう。この分野のスペシャリストである虎の門病院臨床腫瘍科部長の高野利実先生に、お話をうかがいました。
乳がんとは、乳房に発生する悪性(放っておくと命にかかわる可能性が高いこと)の腫瘍です。乳がんは大きく2つに分けられます。乳管という部分から発生する「乳管がん」と、小葉上皮という部分からから発生する「小葉がん」です。発生する割合は乳管がんのほうが多く8割程度で、小葉がんが1割程度です。乳がんは女性だけのがんと思われがちですが、男性にもできることがあります。ただし、男性にできる確率は女性に比べ100分の1程度です。
乳がんは、がんの範囲が乳房のみに限られているのであれば、命を脅かすことはありませんが、遠隔転移(体の離れた別の部分に転移してしまうこと)が起こると、致命的になりえます。そのため、乳がんの治療では「遠隔転移をさせない」ことが特に重要です。
乳がんの検診を希望するときや、胸のしこりが気になったときは、検診を扱っている病院やクリニックを受診するとよいでしょう。乳がんが疑われる所見があれば、組織の生検(組織の一部を切り取って検査すること)を行います。クリニックは、総合病院やがんセンターなどと連携をとっていることが多く、状況に応じて、適切な医療機関で検査や治療を受けることになります。
乳がんの治療は乳腺外科が中心となって行われることが多いですが、薬物療法を腫瘍内科が担当する施設も増えてきています。
乳がんの症状としては、以下のものが挙げられます。
乳がんがあっても、痛みはないことが多いですが、痛みや違和感をきっかけに見つかることもあります。
記事1:乳がんとは?―どこを受診すればいいのか
記事2:乳がんの原因は?
記事3:乳がん検診―何歳になったら受けるべき?
記事4:乳がんの治療―薬物療法はどんなもの?