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COPDと睡眠時無呼吸症候群の症状

外来受診される呼吸器疾患のなかでも特に患者さんが多いのがCOPDと睡眠時無呼吸症候群です。放っておくと、睡眠不足だけでなくQOL(生活の質)まで低下させてしまいます。国際医療福祉大学呼吸器内科部長望月太一先生にCOPDと睡眠時無呼吸症候群の症状を解説していただきます。

COPDを発症している患者さんは、睡眠時無呼吸症候群を併発するケースが比較的多いことがわかっています。ただでさえ肺のガス交換機能が低下している状態のため、睡眠時に無呼吸という症状が加わることによって血液中の酸素が低下し、心肺を含め様々な臓器に負担をかけることになります。実際、日常生活のQOLも低下することがわかっています。睡眠時間をしっかりとっても疲労が癒えず、昼間に強い眠気がおきる、仕事や学業の意欲低下などが起こりやすくなります。

COPDは、気道や肺胞の炎症が生じ肺の働きが低下するために正常な呼吸が困難になり、進行すると歩行時の息切れ、呼吸困難、痰を伴う咳などの症状が出ます。発症は40歳以上の方が多く、全身に様々な疾患を引き起こす要因があることが特徴です。症状が慢性的に2年以上続く場合はCOPDの可能性が極めて高い(慢性的な症状の場合、そのうち1/3程度にCOPDの可能性がある)とされていますが、症状があっても、咳やたん、息切れなどが重篤な呼吸器疾患によるものだという認識がない方が大多数で、「病気」だと思って受診される方もまだそれほど多くないといえます。また、患者さんの90~95パーセントに喫煙歴があることがわかっており、さらにCOPDと診断された患者さんはそうでない患者さんに比べて肺癌を含めた発がんのリスクも高いといわれています。

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に喉の奥が閉塞して呼吸が一時的に止まる状態を引き起こします。呼吸ができないために低酸素状態になり、苦しさで目が覚めて浅い眠りの中でやっと呼吸をすることになります。そしてほんのわずかな時間で酸素が取り込まれるとまた眠り、再び低酸素状態になると苦しくて目が覚める、というサイクルを睡眠中に繰り返します。睡眠中に起こる症状であるため、ご本人が症状に気づかないケースが珍しくありません。また、ここで分類される睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、いわゆる精神神経疾患による睡眠障害とは違い、入眠できないという訴えは少ないことが通例です。また、睡眠中、無呼吸の後に目が覚めても再び入眠できないと訴えるケースも少ないといわれています。