COPD(chronic obstructive pulmonary disease・慢性閉塞性肺疾患)は、慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称で、閉塞性換気障害(息が通常より通りにくくなる)が引き起こされる肺の炎症性疾患です。
COPDの診断は呼吸機能検査によって行われますが、肺が膨張したり肺胞が潰れてしまったりすることがあるため、レントゲン(X線)やCTスキャンで異常が検知できる場合もあります。ここでは、COPDの診断方法や、レントゲンやCTスキャンで検知できる異常などについて詳しく解説します。
COPDは問診や画像検査で推定することも可能ですが、確定診断には呼吸機能検査が必要となります。そのため、レントゲン検査やCTスキャンといった画像検査はあくまで補助的に使用されるものです。ただし、ほかの病気の可能性を除外するためにレントゲン検査が必要となります。
一方で、CTスキャンでは気腫性変化(肺胞が壊れ、肺にたまった空気を出せなくなっている状態)や気道の病変を見ることができるメリットがあります。さらに肺がん合併の有無を判別するためにも有益な検査です。
レントゲンもCTスキャンも放射線を使った画像検査ですが、レントゲンは放射線を一方向から照射するため、2次元の画像が出来上がります。一方CTスキャンはさまざま角度から放射線を照射するため、立体的な画像が出来上がります。COPDに対するレントゲンとCTスキャンによって検知できる異常は以下のとおりです。
COPDに対するレントゲン検査では、以下のような異常が見られることがあります。
<正面から撮影した場合>
<側面から撮影した場合>
ただし、COPDの初期段階にレントゲンで異常を検出することは難しいとされています。
レントゲンでは異常が見られなくても、CTスキャンによってより軽度の異常を検知できることがあります。COPDに対するCTスキャンでは、主に肺の気腫性変化を検知することができます。気腫化すると潰れた肺胞が黒く写り、重症化すると肺全体が真っ黒に写ります。
ただし、気腫化が見られたからといって必ずしもCOPDというわけではなく、COPDかどうかはあくまで呼吸機能検査の結果に左右されます。反対に、COPDでも気腫化が見られないこともあります。
すでに解説したとおり、レントゲンやCTスキャンはあくまで補助的な検査であり、確定診断や重症度判定には呼吸機能検査(スパイロメトリー)が必要です。そのほか、問診や内科診察なども行われます。
呼吸機能検査では、息を最大限吸った状態から息を吐き、吐き出した全体量(努力性肺活量)と最初の1秒間に吐き出せる量(1秒量)を測定します。そして、1秒量÷努力性肺活量で導き出した“1秒率”が70%未満であることがCOPD診断の目安となります。
COPDには進行の程度を数字で表す“病期”の概念があり、予測一秒量に対する比率(対標準一秒量)が80%以上でⅠ期(軽度の気流閉塞)、50%以上80%未満でⅡ期(中等度の気流閉塞)、30%以上50%未満でⅢ期(高度の気流閉塞)、30%未満でⅣ期(極めて高度の気流閉塞)と分類されています。
COPDの確定診断には呼吸機能検査が必要ですが、レントゲンやCTスキャンも診断の補助として有効とされています。
レントゲンでは心臓や横隔膜の形の変化が検知できますが、初期段階にレントゲンで異常を検出することは難しいとされています。一方、CTスキャンではレントゲンで検知できない軽微な異常を発見できることがあります。COPDの早期発見のため、咳、たん、息切れなどの症状が見られる場合は内科(主に呼吸器内科)の受診を検討するとよいでしょう。