COPD(chronic obstructive pulmonary disease:慢性閉塞性肺疾患)とは、これまで慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称で、閉塞性換気障害(息が通常より通りにくくなること)が現れる病気です。
本記事ではCOPDの原因と、原因に基づいた予防策を詳しく解説します。
COPDの最大の原因はたばこで、そのほか大気汚染、粉塵や化学物質、呼吸器感染症や小児期の呼吸器疾患などが挙げられます。詳しくは以下のとおりです。
COPD患者の約90%に喫煙歴があり、喫煙者の15~20%がCOPDを発症するといわれています。
メカニズムとしては、たばこの煙を吸うことで気道が炎症を起こし、気管支が細くなったり気管支の奥にある肺胞(取り込んだ酸素と血液中の二酸化炭素の交換を行う細胞)が破壊されたりしてCOPDを発症するとされています。そのため、受動喫煙でたばこの煙を吸い込むだけでもCOPD発症のリスクは高まります。
たばこ以外に、大気汚染、有機燃料(バイオマス)が燃えたときの煙、仕事の作業中に発生する粉塵や化学物質などの有害物質を吸い込むことなども、COPDの原因になると考えられています。
また、小児期の呼吸器感染症や肺の成長もCOPDに関連するといわれています。たとえば、早産の低出生体重児で慢性肺疾患を発症している場合、成長後も肺機能が低く、COPDを発症する可能性があります。さらに、肺炎などの既往も成長後の肺機能低下や呼吸器症状の悪化に関連するとされています。
そのほか風邪やインフルエンザ、肺炎、気管支炎といった呼吸器感染症もCOPDが悪化する原因になり得ます。
COPDの予防法として、禁煙、生活習慣の改善などが挙げられます。詳細は以下のとおりです。
COPDの原因の大部分がたばこによるものであることから、予防のためには禁煙がもっとも重要となります。禁煙の開始が早いと効果も高いですが、何歳からでも効果が期待できるため、できる限り早く禁煙を始めるとよいでしょう。また、禁煙はCOPD治療においても最優先されることであり、早期のCOPDであれば禁煙だけでも症状がかなりよくなることがあります。
ただし、COPDを発症するのは喫煙者の15~20%程度です。COPD患者にはCOPDを発症しやすい素因があると考えられており、加齢による肺機能低下のスピードが速くなるため、禁煙しても肺機能が完全に改善されるわけではありません。しかし、禁煙することで肺機能の低下速度が非喫煙者と同程度に落ち着くため、進行を遅らせることができるとされています。
運動やバランスのとれた食事を心がけるなどの生活習慣改善も大切です。運動療法や栄養療法は、COPDの治療時にも症状緩和や重症化予防のために行われています。
COPDは数年かけて徐々に進行するもので、気付かないうちに発症している可能性もあるため、重症化を予防する行動にも意味があると考えられます。また、COPDは特定の病気を併発していることもあり、心血管疾患、高血圧、骨格筋機能障害、栄養障害、骨粗しょう症、がん、睡眠障害などと相互に影響し合うことがあります。そのため、こういった病気の予防のためにも生活習慣の改善は重要です。
運動は、下肢を使った全身持久力トレーニングが推奨されています。ウォーキング、自転車、踏み台昇降などが挙げられますが、ウォーキングは特に無理なく気軽に行える運動であるため習慣化しやすいでしょう。
COPDの原因の大部分は“たばこ”です。COPDの症状として代表的なものが、息苦しさ、咳、たんであるため、このような症状があり、かつ喫煙歴もある場合は内科(主に呼吸器内科)の受診を検討するとよいでしょう。早期発見、早期治療により重症化を回避できます。
また、予防のためにも禁煙は非常に重要です。自分で禁煙するのが困難な場合は、禁煙外来の受診も検討するとよいでしょう。年齢や状況によっては保険が適用になる場合もあるため、まずは医療機関で相談してみましょう。