気管支喘息は発作を繰り返すこともあり、患者さんは多くの負担を強いられます。気管支喘息発作を予防することはできるのでしょうか。また、どのように予防していくのでしょうか。国際医療福祉大学臨床医学研究センター教授/山王病院アレルギー内科の足立満先生にお話をお聞きしました。
気管支喘息の治療を進めるにあたり、大事なのは自己管理(自分の喘息の容態を常に自分で把握しておくこと)です。喘息は本人のみならず、患者さんのご家族の生活をも乱してしまう可能性があります。そのために、社会環境も整えていくことが今後は大切になってきます。
喘息治療で最も大切なことは、喘息発作を予防することです。ですからそのためにできる工夫をしていくことが重要と言えます。第一優先は長期管理予防薬(吸入ステロイド)の使用ですがその前に自分でできる事はないでしょうか。
たとえば、「喘息日誌」を付けてみましょう。ここに記載する内容は、発作の状況や薬の使用頻度・治療の記録などです。何をきっかけで発作が起こりやすいかがわかるうえ、薬の飲み忘れや飲み過ぎを防ぐこともできるでしょう。また、この日誌を主治医に診察時に見せることで、主治医が今後の治療方針を決め、より良い治療方法を提案してくれる可能性もあります。客観的指標であるピークフローメーターを一緒に記録するとさらに有用です。
アルコールやタバコを摂りすぎていませんか? これらの刺激物は気道の炎症を悪化させる原因となります。発作の誘因を避けることは非常に重要な予防方法のひとつです。アルコールやタバコは控えましょう。特に禁煙は絶対に必要です。
アレルゲンのもととなるダニやハウスダストを除外するために、部屋を清潔にすることが大切です。掃除をこまめにして、きれいな部屋を保っておきましょう。特に寝具それもシーツや敷き布団をしっかり洗ったりこまめに電気掃除機などできれいにすることが大切です。
また、ストレスも発作を起こす重大な要素ですので、あまりストレスをためすぎないよう適度に発散する工夫をしておくことが求められます。
日常生活でできる予防法には以下のようなものがあります。
もしも、これらの発作予防法を意識していても発作が起きてしまったらどうすればよいでしょうか。
軽症発作であればプロカテロールなどを吸ってみることもあります(発作への対処法は『喘息発作の対処法とは。短時間作用性β2刺激薬(SABA)を吸入し、おさまらない場合は救急外来へ』)。しかし、症状が辛い場合には躊躇せず、とにかく受診することを心がけてください。喘息は、発作が起きるたびに気道が過敏になり、さらに発作を起こしやすくなります。ですから、気管支喘息になってしまったらそこであきらめるのではなく、できるだけ発作を起こさないように予防するよう吸入ステロイドを中心とした抗疾患治療の継続を意識することが大切なのです。