COPDは病気の初期段階では症状が現れないこともあるといいます。ゆっくりと時間をかけて進行するため、早期診断と早期治療がとても重要となります。ここでは久留米大学病院呼吸器内科の川山智隆先生にCOPDの診断についてお話をうかがいました。
COPDにみられる症状は、慢性の咳や痰、労作時の呼吸困難(息切れ)などです。COPDの原因はその9割程度がタバコといわれていますので、長い間タバコを吸っている方で、このような症状がある場合にはCOPDが疑われます。
COPDは、肺活量を測るスパイロメトリーを用いて診断を行います。肺にどれだけの空気を吸い込むことができ、またどれだけ息を吐き出すことができるのかを測定します。測定方法は、肺にできる限りの空気を吸い込んだあと、一気に息を吐き出してもらいます。最初の1秒間に吐き出せる量を1秒量(FEV1)といいますが、このとき、最大努力で吐き出した全体量(努力性肺活量FVC)と1秒量の比率である1秒率(FEV1%)の値をみます。
1秒率の値が70%未満の場合にCOPDと診断されます。COPDは閉塞性換気障害を起こす疾患ですので、1秒量が減少していきます。1秒量は重症になればなるほど減少します。
COPDは、その重症度によって軽症から最重症まで四段階に分類されます。
1期の軽症では、ごく一部の方で息苦しさを感じる場合もありますが、大半の方は治療の対象にはなりません。原因がわかっていれば、原因を回避することになります。つまり禁煙ということです。2期の中等症以降になると症状が現れてくるため治療が必要になり、最重症の4期になると酸素療法が必要なる方もおられます。
COPDはタバコが原因であることが判明しているため、タバコを吸っている方で何らかの症状がある場合には、まずは禁煙を行うことが重要です。喫煙はCOPD以外にも肺がんや心筋梗塞、脳卒中などの病気を発症させるリスクともなります。またCOPDの併発症として多くみられるものとして、メタボリックシンドローム、骨粗鬆症、心血管系疾患、肺がん、抑うつ症などがあげられます。これらの疾患を併発していないか確認しておくことも必要です。COPDに罹患していると、他の疾患の発症リスクを増加させる可能性があると指摘されており、特にCOPDと肺がんについては関連が高いといわれています。
COPDの診断を行うにあたっては、他の疾患との鑑別も重要となります。鑑別が必要な疾患としては以下のようなものがあります。
早期のCOPDでは、自覚症状が現れないことも多いため、息切れを評価する指標であるMRC質問票というものを用いて評価します。以下を基準に息苦しさの有無の判断を行います。