大腸ポリープとは、大腸のもっとも表面にある大腸粘膜に発生する、いぼのように隆起した病変のことです。さまざまな種類があり、原因もそれぞれ異なります。大腸ポリープの種類別のリスク因子や、大腸ポリープを予防するための注意点にはどのようなものがあるのでしょうか。
大腸ポリープは構造の違いから“腫瘍性”と“非腫瘍性”に大別され、腫瘍性ポリープは良性腫瘍(腺腫)または悪性腫瘍(がん)に、非腫瘍性ポリープは炎症性ポリープや過形成性ポリープ、過誤腫性ポリープと呼ばれるものに分けられます。
腫瘍性ポリープは遺伝的素因や食生活を中心とした生活習慣、加齢などが、非腫瘍性ポリープでは腸の炎症や加齢などが主な原因で起こると考えられています。ポリープの中でも腫瘍性ポリープはがんになる危険性があるため、リスク因子を取り除くことでの発生予防や、定期的ながん検診で早期発見に努めることが大切です。
大腸ポリープは、種類によってリスク因子が異なります。
腫瘍性ポリープには、良性腫瘍(腺腫)と悪性腫瘍(がん)があります。発生時は腺腫であっても、腫瘍の成長とともに悪性化していくことがあると考えられており、発生やがん化には年齢や遺伝的素因、生活習慣が関わっているとされています。
腫瘍性ポリープ(特にがん)は30代前半から増加しはじめ、高齢になるにつれて発生頻度が高くなります。日本では、40歳以上は毎年大腸がん検診を受けることがすすめられています。
遺伝性の病気で、大腸ポリープが大量に発生する病気や、ポリープが少なくても大腸がんができやすい病気があり、それぞれ家族性ポリポーシスやリンチ症候群と呼ばれています。親や子、兄弟などにこの病気の人がいる場合は、若くして大腸がんにかかることもあります。
食生活(赤身肉、加工肉、高カロリー食)、肥満、過量のアルコール摂取、喫煙は大腸ポリープや大腸がんの発生リスクを高めることが分かっています。
非腫瘍性ポリープは正常組織が集まっていぼ状になったものと考えられており、がんとは無関係であると考えられています。
非腫瘍性ポリープの中にもいくつか種類がありますが、炎症性ポリープは潰瘍性大腸炎やクローン病といった腸の炎症性疾患にかかった後にできることが多く、過形成性ポリープは加齢に伴いみられるようになる老化現象の1つ、過誤腫性ポリープは若年によくみられる組織奇形の1つとされています。
大腸ポリープのうち、がん化する恐れがあり治療が必要なものは腫瘍性ポリープで、食生活や生活習慣、遺伝、年齢などがリスク因子となります。
腫瘍性ポリープの発生や大腸がんへの進行を予防するためには、リスクとなる生活習慣を見直すことが必要です。なお、ストレスが大腸がんの発症に直接関わるとの報告はありませんが、ストレスによって食生活が悪化したりアルコールの摂取量が増えたりすることで、結果的に大腸がんの発生リスクを高める可能性があります。日頃から、ストレスのない生活を送ることも大切です。また、食物繊維の摂取や適度な運動習慣は腫瘍性ポリープの発生予防が期待できるといわれています。
一方で、大腸ポリープは年齢の影響を強く受けているため、健康的な生活を送っていても、大腸ポリープができてしまうことがあります。小さなポリープであれば体への負担が少ない内視鏡治療で切除することができるため、定期的にがん検診を受けることも大切です。特に、家族に大腸ポリープや大腸がんにかかった人がいる場合は、一度医師に相談してみるとよいでしょう。
大腸ポリープの原因は種類によって異なります。がん化する可能性がある腫瘍性ポリープは乱れた生活習慣がリスク因子となります。リスクの高い生活習慣を見直すとともに予防につながる生活習慣を取り入れるとよいでしょう。また、定期的にがん検診を受け、早期発見に努めることも大切です。