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心筋梗塞の治療――​​カテーテルからリハビリテーションまで

心筋梗塞の治療は時間との勝負であり、発作からどの程度時間が経っているかによって治療法が異なります。第一選択はカテーテル治療(以下PCI)で、心筋梗塞の発症後12時間以内に来院された場合は基本的にPCIが適応になります。また、カテーテル治療後は心臓リハビリテーションをじっくりと時間をかけて行い、再発予防に努めることも大切です。心筋梗塞の治療の流れについて、心臓に対するカテーテル治療を積極的に行う札幌心臓血管クリニック理事長の藤田 勉先生にお話しいただきます。

心筋梗塞の治療の第一選択は、再灌流療法(閉塞した冠動脈を再開通させ血流を回復させる治療法)です。再灌流療法にはカテーテル治療であるPCI(percutaneous coronary intervention:経皮的冠動脈形成術)や血栓融解療法などがありますが、心筋梗塞の発症後12時間以内であれば基本的にはPCIを適応します。6時間以内に治療を実施できた場合はより理想的です。しかし、発症から24時間以上が経過し症状も治まらない場合はPCIが適応できません。PCIを行えない患者さんに対しては、血栓融解療法が検討されます。

血栓融解療法とは、点滴や静脈注射で薬物を投与し血栓を溶かす治療法です。カテーテル治療のための設備が整っていない施設でも実施できますが、致死的不整脈や再閉塞のリスクがあることから、原則的にカテーテル治療が困難な場合の処置として考えられています。

心筋梗塞に対する治療の基本的な考えは、血栓を除去して拡張させ、心筋が壊死している時間を短くすることです。札幌心臓血管クリニックでは、血栓が冠動脈を塞いでいるタイプの心筋梗塞に対して素早く血栓を除去するために、エキシマレーザーを使用することがあります。

エキシマレーザーは、特殊なレーザーを発する機能を持っています。エキシマレーザーを血栓の形成される組織に照射すると、血栓が焼かれ、やがて蒸散されます。このようなメカニズムで、血栓を取り除くことができます。

エキシマレーザーで血栓を取り除いた後は、狭心症に対するPCIと同様の処置を行います。

冒頭で述べた通り、心筋梗塞の治療は時間との勝負です。治療にかかる期間は心筋の壊死していた時間(発作を起こしてから治療で血流を回復させるまでの時間)によって異なります。当院の場合、緊急PCIで24時間以内に血管を拡張できた患者さんは2週間程度の入院期間を、治療が遅れた患者さんは1か月前後の入院期間を要します。

心筋梗塞の治療後、元気に以前通りの生活に戻るには、リハビリテーションと再発予防管理を徹底することが大切です。

心筋梗塞におけるPCIの後、患者さんには在宅で心臓リハビリテーションを受けていただきます。心臓リハビリテーションとは、患者さんの心機能を高めるために、生活改善、運動指導、安全管理、心臓に負荷がかかるリスクの管理、心のケアなどを総合的に行うプログラムです。この心臓リハビリテーションを行うにあたり、医師や理学療法士、看護師、薬剤師、臨床心理士など多職種が連携して、一人ひとりの状態や回復度に応じたリハビリテーションを決定します。心臓リハビリテーションは、基本的に入院期間と同等の時間をかけて行います。

また、仕事もリハビリテーションの一環ですので、問題なく回復できている場合は、徐々に仕事復帰を検討していただいても問題ありません。