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大動脈弁狭窄症の症状について―暮らしの中で異変に気付くために

大動脈弁狭窄症は、私たちの心臓の働きにかかわる重大な病気です。この病気の問題点は、症状を感じないままに進んでしまうケースが多いということです。この記事では、大動脈弁狭窄症がどのような病気なのか、そして症状に気付くためにはどのようなことに気をつける必要があるのかについて説明します。

大動脈弁狭窄症とは、大動脈弁の炎症や動脈硬化で、大動脈弁が開きにくくなった状態です。左心室から大動脈に血液を送り出しにくくなり、ある時期までは心機能を保つために左心室は肥大(心臓の壁が分厚くなる状態)します。重症の大動脈弁狭窄がさらに長期間に及ぶと左心室は拡大(心臓そのものが大きくなった状態)し、左心室の収縮が弱くなってしまいます。

大動脈弁狭窄症は、長い間症状を感じることなく進みます。しかし、無症状の間にも狭窄が進行してしまうので注意が必要です。やがて自覚できるほど狭窄が進むと、次のような症状が現れます。

  • 失神
  • 狭心痛(締め付けられるような胸の痛みを感じる状態)
  • 労作時呼吸困難(安静時には何もないが、階段を上がったり、坂道を登ったりなどの日常生活の動作や軽い運動で、息切れがしたり、息苦しくなったりする状態)
  • 夜間発作性呼吸困難(就眠してしばらくすると息苦しくなる状態)
  • 起坐呼吸(横になると息苦しくて、起きて座ると症状が軽くなる、または無くなる状態)

ただ現実的には、大動脈弁狭窄症の特徴は症状がゆっくり進むことであるため、自分では異変に気付かず、健康診断で発覚するということが多いです。
自分で異変に気付く場合は、「今まで普通にできていたことができなくなった」、例えば「駅の階段を今までは苦労せず登れていたのに最近登れなくなった」などの経験で気付くことが多いです。「年のせいだと思っていたけれども、同窓会などで同級生と健康状態を比べた時に異変に気付く」という場合もあるようです。

胸痛、息切れ(坂道や階段などで息切れが生じてしまう状態)、失神などの症状は危険です。
中でも、失神には最も注意が必要です。症状が進行すると、最終的には安静にしていても苦しくなります。いつの間にか進行してしまう病気ですので、異変に気づき「あれ?」と思ったらすぐに病院を受診しましょう。

大動脈弁狭窄症に限らず、弁膜症の症状に早く気づくためには、活動性を高く保つ、つまり日常生活の中で適度に体を動かすことが大切です。活動性が低いと症状が出にくく、異変を自覚しにくいため、発見が遅れてしまいます。
特に男性の場合は、家事などをせずに活動性が高くないことが多いため、注意が必要です。一方、女性の場合は、外出や家事などにより一定の活動性を確保できるケースが多く、症状に気付きやすい傾向にあります。
また、活動性を高く保つことは、動脈硬化の予防にもつながります。ウォーキングなどの、激しすぎず継続できる運動を行いましょう。

現在のところ、大動脈弁狭窄症が遺伝するという根拠はありません。この病気の最大の原因は、加齢による変性、つまり動脈硬化です。そして、動脈硬化は遺伝などにかかわらず、誰にでも起こりうる状態です。