高血圧とは血圧が高い状態が続く病気のことです。2017年の調査では日本国内で約993万人が高血圧の治療を行っており、治療を行っていない人も含めると4,000万人以上もの人が高血圧の状態にあるといわれています。また、高血圧はさまざまな合併症の原因となり、高血圧性疾患(高血圧による心疾患や心腎疾患、その他疾患)では年間約10,000人が死亡しています。
高血圧の診断基準はいくつかの種類がありますが、収縮期血圧(心臓が縮んだときの血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(心臓が拡がったときの血圧)が90mmHg以上であることが目安のひとつとされています。それでは、高血圧ではどのような症状が出るのでしょうか。また、高血圧によってどのような合併症(臓器が傷むこと)が引き起こされるのでしょうか。
高血圧は、それ自体では特別な症状がないことが一般的です。高血圧の方でなんらかの症状がある場合は、高血圧を引き起こす病気が隠れていたりその合併症が原因となっていたりすることが考えられます。
高血圧に関連する症状は多岐にわたりますが、以下のようなものがあります。
一過性脳虚血発作(一時的な手足のしびれ、運動障害、言語障害など)、筋力低下、めまい、早朝の頭痛、視力障害など
運動時や夜間の息苦しさ、体重増加、下半身のむくみ、動悸、胸の痛みなど
多尿、夜間頻尿、血尿、蛋白尿
歩行時の足の痛みやしびれ、下半身の冷え
上記で述べたように、高血圧自体にはほとんど症状がありません。むしろ、症状が見られた場合は合併症を引き起こしている可能性も考えられるため、早急に受診が必要な状態であるといえます。
このような高血圧による症状が現れる前に治療を行うことが重要ですが、症状がなければ高血圧の治療が必要ないというわけではありません。
高血圧は、放置することで全身のさまざまな臓器にダメージを与え続け、合併症を引き起こします。
脳出血、脳梗塞、くも膜下出血など
左室肥大、狭心症、心筋梗塞、心不全など
たんぱく尿、腎不全など
動脈硬化、大動脈瘤、大動脈解離など
高血圧性網膜症など
めまいや頭痛、手足のしびれなど明らかな症状がある場合はなるべく早く医療機関を受診するようにしましょう。
特別な症状がない場合、健康診断や家庭用血圧計での血圧測定をきっかけに高血圧を自覚することが一般的です。血圧はさまざまな因子で変動するため、一時的な上昇であれば過度に心配する必要はありませんが、血圧が高い状態が続く場合は医療機関を受診するようにしましょう。
血圧の基準はさまざまなものがありますが、日本では一般的に高血圧治療ガイドラインの基準が使用されています。高血圧と診断されるのは収縮期/拡張期血圧が140/90mmHg以上の場合ですが、正常高値血圧値(120–129/<80mmHg)以上となった段階で、生活習慣の見直しが必要であるともいわれています。
なお、上記の基準は病院で測る血圧の目安ですが、家庭で測ると血圧が低くなりやすいといわれています。そのため、家庭の血圧計で測定する場合は、家庭血圧の基準値を参考にしてください。
高血圧の多くは原因不明とされていますが、高血圧を引き起こしやすいいくつかの因子が知られています。
など
上記に当てはまる人はなるべくこまめな血圧測定を心がけるようにしましょう。また、生活習慣に関わるものは、生活習慣の見直しを行うことも大切です。
高血圧は特別な症状がないため、気付かないうちに進行していることがある病気です。日ごろから自分の体に気を配り、定期的に血圧を測るようにしましょう。
血圧が高い状態が続く場合は、症状がなくても循環器内科やかかりつけの一般内科を受診するようにしましょう。