風疹は一般的に「三日はしか」と呼ばれ、“風疹ウイルス”が原因となる感染症です。症状の特徴は、微熱と発疹(皮膚が赤くなるなどの病変)と耳の後ろのリンパ節の腫れです。
このウイルスに対する特効薬は残念ながら存在しませんが、合併症(伴って起こる別の病気)がなければ問題となることはありません。しかし、妊娠初期に妊婦が感染した場合の「先天性風疹症候群」は大きな問題になります。そのため、思春期後の女性は注意が必要です。ワクチンで感染予防をしっかり行っておきましょう。
風疹ウイルスが体の中に侵入してから実際に症状が出るまでの時間(潜伏期間)は2~3週間です。その間はほとんど症状がなく、あったとしても微熱と首のリンパ節の腫れのみです。その後発疹が現れます。
風疹の3大症状は、微熱・発疹・耳の後ろのリンパ節の腫れです。発熱が見られない場合もあります。発疹は顔から始まり全身へ広がりますが、「三日はしか」と呼ばれる通り、3日間程度で治ります。リンパ節の腫れ(首、耳の後ろ、後頭部のリンパ節)は、発赤が現れる1週間前から見られ、小さくなるのに数週間程度かかります。
合併症は非常に稀です。約6,000人に1人の割合で脳に炎症(脳炎)の起きることがあります。脳炎が起こるのは皮疹が現れてから3~6日後で、頭痛・発熱・嘔吐などの症状を伴って急に発症します。このとき、痙攣や意識障害におちいることもあります。多くの場合は3~4日で意識が回復しますが、重症となることもあります。また、約3,000人に1人の割合で、血液の中にある血小板というものが減り、出血が止まりにくくなります。
「風疹である」という診断には周囲の流行状況が手がかりとなります。血液検査で風疹ウイルスに対する「抗体」という免疫物質を検出したり、血液や尿、のどから直接風疹ウイルスの遺伝子を検出したりすれば、より診断が確実になります。
風疹に対する特効薬はありません。そのため、ワクチンによる予防が最も重要です。もし児童・生徒の方が感染してしまった場合は、学校保健安全法で「発疹が消失するまで出席停止」と定められています。
子どもが風疹に感染しても重症化することは稀です。しかし、妊娠初期の女性が感染してしまうと、生まれてくる赤ちゃんに「先天性風疹症候群」という怖い病気の生じる可能性があります。しっかりとワクチンによる予防を行っておきましょう。多くの人が予防接種を受けると、個人を風疹から守るだけでなく、他の人に風疹をうつすことが少なくなります。
日本ではワクチンを無料で接種できます。1歳の時と小学校入学前1年間の2回打つことで風疹を予防できます。予防接種後の副反応で多いものが発熱と発疹です。接種から約8日をピークに20%の人が発熱し、10%程度の人に発疹が現れますが、いずれも一時的なもので自然に症状はなくなっていきます。