おねしょと夜尿症、一見すると同じような状態であるように思われるかもしれません。しかし実は、両者は別物なのです。それでは、その違いとは何でしょうか。
「おねしょ」と「夜尿症」はどちらも夜間の睡眠中におもらしをしてしまう状態です。ふたつは年齢によって区別されています。
おねしょとは5歳未満の幼児が夜間の睡眠中におもらしをしてしまうことをいいます。一方夜尿症とは、5~6歳を過ぎても、夜間の睡眠中におもらしが続いている状態です。
小学校入学時ではおよそ10~15%の子どもが夜間におもらしをしているといわれています。そのうち15%程度の子どもは自然に治っていきますが、6歳をすぎても毎晩おもらしをしてしまう場合は、夜尿「症」と診断され適切な対策を取ったほうが良いとされています。個人差もあり年齢はあくまで目安ですが、8~9歳ごろまで改善がないようであれば、一度医療機関を受診することをおすすめします。
夜尿症は多尿型、膀胱型、混合型の3つに大きく分けられます。
・多尿型:夜間の尿量が多いタイプ
・膀胱型:夜間の膀胱の容量が小さく、おしっこを貯める力が弱いタイプ
・混合型:上記の二つを併せ持つタイプ
治療方法がタイプごとに異なるため、子どもがどのタイプに当てはまるかを見分けることが重要です。
そのためにはまず夜間の尿量を測る必要があります。方法としては、おしっこをして膀胱をからっぽにしてから寝て、朝起きたときにおむつの重さを測定します。さらに、朝一番のおしっこの量を計量カップで測ります。夜、寝ている間のおねしょの量(おねしょで濡れたおむつから、濡れていない状態(未使用)のおむつの重さを引いたもの)に、計量カップではかった朝の尿量を加えたものがその子の夜間の尿量となります。参考として、小学校1~3年生までの一般的な夜間尿量は200cc以下とされています。
次に膀胱の容量を測定します。排尿できる限界まで我慢させ、もうこれ以上我慢できないと訴えたところで排尿をさせて尿量を測ります(「がまん尿」)。がまん尿は学校から帰ってきたときに測定するのがおすすめです。ちなみに、参考となるがまん尿の量は、小学校1年生で150cc以上、小学校2年生で200cc以上、小学校3年生以降で250cc以上といわれています。
かつて夜尿症はしつけの問題や子どもの心の問題ととらえられていました。しかし、現在では様々な原因が、下記のとおり複雑に関係していると考えられています。
①寝ている間にたくさんの尿が作られてしまう
・抗利尿ホルモン(おしっこの量を抑えるホルモン)の分泌が少ない
・夜寝る前に水分を摂りすぎている
②膀胱のおしっこを貯める力が弱い
③心理的ストレス
④夜間のからだの冷え
⑤睡眠の質の問題
※強い尿意があるにも関わらず目を覚ませないことが夜尿の原因といわれることもあります。ただし、健常な子どもの多くは夜間に目を覚ましませんので、これだけが原因であることは稀です。
⑥膀胱や腎臓その他の臓器の異常
※夜尿症の子どものほとんどには、夜尿をしてしまう疾患はありませんが、夜尿症を訴える子のうち5%程度に先天的な腎臓や膀胱、脊髄の病気などが見つかります。夜間だけでなく昼間にもおもらしをしてしまう場合は、膀胱や腎臓そのものに異常のあることが多いようです。