白血病とは血液のがんで、“造血幹細胞”が赤血球・白血球・血小板などの血液細胞に成長する過程で“白血病細胞”となり、無秩序に増殖してしまう病気を指します。中でも“急性骨髄性白血病”は、白血球へ分化するはずの“骨髄芽球”に異常が起こり、白血病細胞が骨髄の中で異常に増加します。また、症状が急激に生じることから“急性”と名付けられています。
急性骨髄性白血病の発症原因は明らかになっているのでしょうか。このページでは、成人の急性骨髄性白血病の原因や予防方法、受診の目安となる主な症状などについてご紹介します。
急性骨髄性白血病の原因はまだよく分かっていません。ただしほかのがんと同様、細胞が分裂を繰り返すなかで遺伝子異常が起こり、白血病が生じると考えられています。
遺伝子異常を引き起こす要因として喫煙や紫外線を浴びることなど、日常的なさまざまなものが挙げられます。しかし、具体的に白血病を引き起こす要因についてはまだよく分かっておらず、ほとんどが偶然に生じる病気と考えられています。
また白血病の中には“成人T細胞性白血病”のようにウイルスの感染に関与して発症するものもありますが、急性骨髄性白血病の場合、ウイルスの関与は特に明らかになっていません。
一方で、急性骨髄性白血病の発症リスクを高める要因としてすでに分かっているものは、以下のとおりです。
急性骨髄性白血病の中には、放射線の被曝や抗がん剤などの化学物質が原因で発症していると考えられるものもあります。
たとえば、原子爆弾投下後や原子発電所の事故後は白血病が多発することがあります。これは放射能が拡散し、周辺の多くの方が放射線を強く浴びたためと考えられています。
また、がん治療では放射線や抗がん剤などが使用されることがあるため、がん治療後に白血病を発症する方もいます。このような白血病は“二次性白血病”と呼ばれます。
そのほか急性骨髄性白血病を引き起こす原因として、ごくまれに生まれつきの遺伝子異常が挙げられます。ただし、急性骨髄性白血病は親から子に遺伝する病気ではありません。
急性骨髄性白血病のほとんどは原因不明です。そのため、効果的な予防方法として明らかになっているものはありません。
強いていうならば、喫煙は遺伝子異常を引き起こす要因となるため、禁煙を心がけるとよいでしょう。実際、骨髄性白血病の患者さんには喫煙者が多いことが分かっています。喫煙は白血病以外にも、肺がん・口腔がん・食道がん・胃がんなどさまざまながんの発症リスクを高めるといわれています。たばこを吸っている人は、これを機に禁煙を検討してみましょう。
急性骨髄性白血病は進行が早く、急速に症状が現れることが一般的です。速やかに治療を行わなければ命に関わることもあるため、気になる症状があれば医療機関を受診することを検討しましょう。
以下では、急性骨髄性白血病の主な症状について簡単にご紹介します。
急性骨髄性白血病にかかると正常な血液細胞が減少し、白血病細胞が増殖することによってさまざまな症状が現れます。
赤血球は、体全体へ酸素を送るはたらきをもちます。赤血球が減少すると貧血状態となり、体のだるさや息切れ、めまいなどの症状がみられることがあります。
白血球は、体を細菌などの異物から守る役割があります。そのため、白血球が減少すると感染症にかかりやすくなり、発熱や喉の腫れなどの症状がみられることがあります。
血小板は、出血を止める役割を持ちます。血小板が減少すると出血が止まりにくくなることにより、あざができやすくなったり、鼻や歯肉から出血しやすくなったりします。
白血病細胞が骨髄で増殖し、骨や関節に痛みが生じることがあります。また、骨髄で増殖した白血病細胞が肝臓・脾臓などに入り込むと腫れが生じ、お腹に腫れを感じることもあります。そのほか、白血病細胞が中枢神経系に入り込むと頭痛や吐き気などの症状が生じることもあります。
急性骨髄性白血病はほとんどの場合で原因が分からないため、予防することは困難です。また現れる症状も特徴的なものはほとんどなく、かぜと勘違いしてしまう方もいます。そのため気になる症状が続くときは、医療機関の受診を検討しましょう。専門の診療科は血液内科です。