白血病とは、血液細胞のもととなる“造血幹細胞”が、赤血球・白血球・血小板などの血液細胞に成長する過程で腫瘍化してしまう血液のがんのことです。造血幹細胞は絶えず細胞分裂をして血液細胞を生み出しています。その際に遺伝子の複製のミスによる遺伝子の傷(変異)ができることが白血病の主要な原因です。この頻度は加齢とともに増加します。一般的に発症頻度は人種間では差がないため、食生活などの環境の影響は少ないと考えられます。
本記事では、成人の場合の白血病になりやすい人の特徴や発症リスクを高めるものなど、2024年現在明らかになっていることについてご説明します。
白血病は、子どもから大人まで幅広い年齢層の人が発症する可能性のある病気です。特に高齢者に多く、成人後は年齢とともに罹患率が高まることが特徴です。
“どのような人が白血病なりやすいのか”“どのような場合に白血病を発症するのか”という点については、大部分はまだよく分かっていません。しかし以下のように、遺伝子が傷つきやすい状態は白血病発症のリスクが高いと考えられています。
がんなどの放射線治療や特定の抗がん剤は、がん細胞のみならず正常の細胞でもその遺伝子を傷つけやすく、数年後に白血病を発症する場合もまれにあります。このような白血病は“二次性白血病”と呼ばれます。
また、同様の理由で原子爆弾や原発事故などで放射能が拡散すると、放射線を大量に浴びてしまうことにより白血病になる方が増えることが分かっています。
白血病の中でも“成人T細胞白血病”という白血病は、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)への感染によって生じることが分かっています。感染経路としては母子感染や性行為による感染、輸血などが挙げられます。
HTVL-1は成人T細胞白血病以外にも、以下のような病気を引き起こすことがあります。
など
ベンゼンやトルエンなどの化学物質に曝露されると、白血病を発症する割合が高いといわれています。
白血病は、親から子どもに遺伝する病気ではないと考えられています。しかし、一部の生まれつきの免疫不全症や染色体異常を伴う病気では、白血病を合併しやすいことが分かっています。
喫煙や飲酒など特定の生活習慣は、がんをはじめとしたさまざまな病気の発症リスクを高めることが分かっています。
白血病では、発症リスクを高める生活習慣として現在明らかになっているのは喫煙習慣です。喫煙は遺伝子変異の原因ともなる生活習慣で、肺がんや口腔がん、食道がんなどさまざまながんの発症リスクを高めることで知られています。実際、白血病においても、成人の“骨髄性白血病”の患者は喫煙者に多いことが分かっています。
白血病は急性か慢性かによって症状の現れ方が異なります。急性の場合、大抵はかぜのような症状、貧血症状、出血症状で気付かれる場合が多いです。一方、慢性の場合はある程度進行するまで自覚症状がなく、健康診断の血液検査などで偶然見つかることも少なくありません。
早期発見のために定期的に健康診断を受けるほか、以下のような症状が続くときは医療機関の受診を検討しましょう。
など
白血病の中には“急性白血病”のように進行速度が速く、速やかな治療を行わなければ命に関わるものもあります。そのため、気になる症状があれば放置せず医療機関の受診を検討しましょう。白血病の診療科は血液内科です。ただし多彩な症状が現れるため、「どの診療科を受診すればよいか分からない」というときは、かかりつけの内科などの受診を検討しましょう。