白血病とは、血液細胞のもととなる“造血幹細胞”が正常な血液細胞になる過程で成長を止めてしまい、“白血病細胞(がん化した細胞)”となって異常に増殖する病気です。
中でも急性骨髄性白血病は白血球へ成長するはずの“骨髄芽球”に異常が生じ、骨髄内に白血病細胞が増殖します。
2017年のがん統計によれば、1年間のうちに急性骨髄性白血病と診断される人の数は、子どもも含めておよそ4,000人程度といわれています。
急性骨髄性白血病では、どのような症状が現れるのでしょうか。このページでは、成人の急性骨髄性白血病の主な症状や医療機関を受診する目安として知っておきたい初期症状などについてご紹介します。
急性骨髄性白血病の症状は、正常な血液細胞を作れなくなることによるものと白血病細胞が増殖することによるものの2種類に分けられます。
以下では、それぞれの具体的な症状についてご紹介します。
血液細胞には赤血球・白血球・血小板があります。急性骨髄性白血病にかかると、これらの血液細胞が作れなくなることによって以下のような症状が現れます。
赤血球には全身に酸素を運ぶ役割があります。赤血球が減少すると、いわゆる貧血症状が現れ、体のだるさや息切れ、動悸、顔が青白くなる、めまいなどの症状がみられることがあります。
白血球には細菌などの異物から体を守る役割があります。白血球が減少すると体を異物から守れなくなることにより、口内炎・肺炎・尿路感染などさまざまな感染症にかかりやすくなり、かつ感染症が治りにくくなります。
また、原因の分からない発熱や喉の腫れなどが現れることもあります。
血小板には出血を止める役割があります。血小板が減少すると、皮下出血によるあざができやすくなったり、鼻血や歯肉などさまざまな部位からの出血がみられるようになったりします。
急性骨髄性白血病では白血病細胞が異常に増殖し、骨髄にとどまらずリンパ節や臓器、中枢神経系などにまで入り込むことがあります。
骨髄内で白血病細胞が増殖すると骨や関節に痛みが生じることがあります。また、リンパ節や肝臓・脾臓などの臓器に白血病細胞が入り込むと臓器が腫れ、お腹が腫れたように感じることもあります。さらに、中枢神経系に白血病細胞が入り込んだ場合、頭痛や吐き気などの症状がみられることもあります。
急性骨髄性白血病は“急性”という名前のとおり、発症の段階で前述のような何らかの自覚症状が現れることが一般的です。しかし、その症状は1つひとつが特徴的とは言えず、かぜと勘違いされてしまうことも少なくありません。そのため、かぜのような症状が続くときは、まず医療機関の受診を検討しましょう。
そのほか、皮下出血によるあざが生じやすいとき、鼻血や歯肉・性器からの出血など、いつもより出血が生じやすいと感じたときなどは、一度医療機関の受診を検討してもよいでしょう。
急性骨髄性白血病の診療科は血液内科です。しかし、前述のように多彩な症状が現れるほか、初期症状がかぜに似ているため、まずはかかりつけの内科などを受診してもよいでしょう。
急性骨髄性白血病は発症すると急激に症状が現れます。また進行速度が早く、速やかに治療を行うことが大切です。そのため気になる症状があれば放置せず、速やかに医療機関の受診を検討しましょう。