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切れ痔ではどんな症状が出るの?〜症状の特徴は時期や原因、発生の仕方などによって異なる〜

切れ痔(裂肛(れっこう))は肛門(こうもん)やその周辺の病気の総称である痔の一種で、肛門周辺の上皮に傷や潰瘍が生じた状態をいいます。主に排便障害(便秘や下痢など)によって肛門の皮膚が切れることで引き起こされるとされています。また、慢性化するとさらに切れ痔がひどくなるといった悪循環を招くこともあるので、放置せずに早い段階で対策を講じることが重要です。

では、どのような症状が現れたら切れ痔を疑えばよいのでしょうか。また、切れ痔を疑う場合はどのように対処するとよいのでしょうか。

切れ痔の主な症状は、排便に関連した痛みや、肛門からの出血です。このような症状は排便時に生じることが一般的ですが、排便後もしばらく続くことがあります。また、肛門から生じる出血は少量で排便時に紙につく程度です。ただし、慢性化すると傷が潰瘍(かいよう)(粘膜や皮膚にできる傷)になり排便時以外にも持続的に痛みが生じるとされています。

切れ痔は症状や時期によって急性期と慢性期に分けられるほか、原因や発生の仕方、症状の特徴などによってもいくつかに分類することができます。具体的には以下のとおりです。

急性期

排便時の痛みや、肛門からの出血が見られます。

切れ痔の中でも初期の状態なので、基本的には生活習慣を改善し、症状を悪化させないようにすることと、症状を和らげるための薬により治療できるとされています。

慢性期

急性期の状態が数か月にわたって続き、肛門周辺に生じた傷が潰瘍状になるほか、突起物(見張りいぼ)やポリープが現れる状態を指します。慢性化するとさらに肛門が狭くなり便を排出しにくくなるので、排便時に強くいきんで肛門の皮膚が切れやすくなり、切れ痔も悪化するという悪循環に陥ります。

この場合は、必要に応じて外科的治療が行われます。

  • 急性肛門裂肛:硬い便を排出する際に肛門周辺の皮膚が急激に伸びることで生じる切れ痔
  • 亜急性肛門裂肛:急性肛門裂肛からさらに繰り返し硬い便を排出することに加えて、細菌感染や無意識に肛門周辺の筋肉が収縮することで徐々に悪化して生じる切れ痔
  • 慢性肛門裂肛:切れ痔が慢性化して潰瘍状の深い傷や、肛門ポリープ、見張りいぼ(慢性化した炎症などが周囲に及ぶなどして肛門の外側にできる皮膚のたるみ)などが見られる切れ痔
  • 肛門ポリープや見張りいぼは、細菌感染や物理的な刺激、便の化学的な刺激などが原因とされている切れ痔
  • 随伴性肛門裂肛:いぼ痔や肛門ポリープの発症が繰り返され、肛門周辺の皮膚が引っ張られて生じる切れ痔
  • 症候性肛門裂肛:クローン病(炎症性腸疾患の1つ)などの疾患の症状として現れる切れ痔
  • 疑似性肛門裂肛:肛門湿疹やカンジダ症などの疾患で肛門にかゆみが発生し、肛門を指で傷つけることで生じる切れ痔

切れ痔の改善のためには、主な原因である便秘を解消するための生活習慣を心がけることが大切です。このほか、ドラッグストアで市販薬が販売されているため、まずは市販薬で様子を見ることも可能です。

しかし、切れ痔だと思っていたものが実はがんや潰瘍性大腸炎、大腸ポリープなどの可能性も考えられます。肛門や大腸の病気は早期発見・治療によって治る可能性が高いので、肛門周辺に痛みや出血が続く場合は早めに受診を検討するようにしましょう。

切れ痔をはじめとした痔の場合は肛門科や肛門外科への受診が適切ですが、近くにない場合は外科や消化器外科でも問題ありません。気になる症状がある場合は、まずは医師に相談をして適切な診断を受けることが大切です。

切れ痔は、特に20~40歳代の女性に発生しやすいといわれています。原因は便秘のほかにも下痢を生じやすい人、刺激物を好んで食べる人、排便時に強くいきむ習慣がある人なども切れ痔のリスクを上昇させます。

また、急性期の切れ痔が悪化すると、場合によっては外科的な治療が必要になることもあります。さらに、切れ痔だと思っていたものががんや、肛門や大腸の病気が原因で発症している可能性もあるため、肛門周辺に痛みや出血が続く場合は自己判断せずに早めに医療機関の受診を検討するとよいでしょう。