ワクチンの役割は、ある病原体(ウイルスや細菌など)に対して免疫をつけ、発症を予防することです。それでは、ワクチンを接種するとなぜ免疫がつくのでしょうか? また、効果や安全性の程度はどのように考えたらよいのでしょうか?
ワクチンは病原性(病気を発症させる力)をなくした、または弱めた病原体から作られる薬剤です。病気の予防を目的としてワクチンを接種することを“予防接種”といいます。
日本では、予防接種法によって規定された定期接種のワクチンと、そのほかに任意で受けることができるワクチンがあります。定期接種のワクチンは、その費用の全額や一部が公費負担で接種できます。
私たちの体は一度かかった病原体を記憶することで“免疫”ができ、次にその病原体が入ってきたときに跳ね返すことができます。“抗体”は免疫のはたらきを担う武器の1つです。したがって、“抗体価が高い”場合は“免疫力が強い”ことを意味します。
ワクチンを接種すると病原体に感染したときと似た状態になり、体がそれを記憶することで免疫がつきます。ワクチンに含まれる病原体は病原性をなくすか弱めてあるため、体に入っても基本的には安全です。
ワクチンを打つと体に免疫ができるため、その感染症にかからないか、かかったとしても症状が軽く済むようになります。ただし、この免疫は自然に感染したときよりは弱いことが多く、ワクチンの種類によっても有効性は異なります。
*ワクチンの有効率について、もっと詳しく知りたい方はこちら
ワクチンによって体に好ましくない反応(副反応)が起こることもあります。ただし、一般的には副反応などワクチンを接種することのリスクよりも、その病気にかかったときのリスクのほうが大きいです。また、ワクチン接種後に起こった好ましくない出来事の全てが、ワクチンを原因とするとは限らないことにも注意が必要です。
*副反応と有害事象の違いについて、もっと詳しく知りたい方はこちら
ワクチンを接種することで病原体に対する免疫がつくられ、感染症の発症や重症化を予防することが期待できます。一方で、100%発症を防げるわけではなく、副反応が起こることもあります。ワクチン接種のベネフィット(利益)とリスクを一人ひとりが適切に理解し、納得したうえで接種を受けることが大切です。