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加齢黄斑変性の検査と、間違えやすい他の眼病とは

対象物がゆがむ、視界のコントラストが低下してものが薄くみえる。このような症状が片眼もしくは両眼に現れているときは、「加齢黄斑変性」の可能性があるため、速やかな眼科の受診が推奨されます。加齢黄斑変性の診断のために、眼科ではどのような検査を受けることになるのでしょうか。また、加齢黄斑変性と見極めが必要な他の眼疾患には何があるのでしょうか。引き続き、国際医療福祉大学病院眼科部長の森圭介先生に解説していただきました。

眼底とは、眼球の底(目の奥)にある網膜や脈絡膜、視神経乳頭などの組織の総称です。内科領域の病気などはCT検査やX線検査などにより、表からみえない体の内部を検査する必要がありますが、網膜の中心の黄斑に現れる加齢黄斑変性の病状は、皮膚の病気などと同じように、眼底検査で直接観察することができるのです。

眼底検査と視力検査の補足として行う検査に、「OCT(光干渉断層計)検査」と「蛍光眼底造影検査」があります。前者のOCT検査とは、近赤外線によって網膜の断面図をみる検査です。これにより、網膜や新生血管の状態を立体的に把握することができます。また、短時間で検査が済み、侵襲性も少ないため、患者さんにとっての負担が少ない検査であるといえます。

蛍光眼底造影は、造影剤(色素)を腕に注射して、眼底の血管の血液の流れや眼底検査では把握しきれない病変を観察する検査です。ただし、この検査は造影剤による侵襲があり、頻度は稀ですがアナフィラキシーショックなどの重篤な副作用を起こす危険性があることでも知られています。他の選択肢がなかった時代には、蛍光眼底造影検査は加齢黄斑変性の診断のための代表的な検査として行われていましたが、現在ではOCT検査で詳細な病状までみられるようになったため、以前に比べあまり用いられなくなっています。

たとえば、黄斑部分に網膜剥離が起こる中心性漿液性(しょうえきせい)脈絡網膜症は、加齢黄斑変性と同じバックボーンにより発生することもあるため、境界型のような病態があり、症例により鑑別が難しい疾患です。

このほか、網脈静脈閉塞症や網膜細動脈瘤、強度近視による脈絡膜新生血管や網膜色素変性など、多数のよく似た眼疾患が挙げられます。