緑内障は日本人の中途失明原因の第1位です。緑内障は、急性型を除けば一般的に自覚症状が少ないといわれています。そのため検診で初めて発見される場合も多く、早期発見が重要です。今回は、緑内障の自覚症状についてJCHO東京山手メディカルセンターの地場達也先生にお話を伺いました。
日本緑内障学会による研究では、40歳以上の20人に1人、60歳以上の10人に1人の方が緑内障にかかっていることがわかっています。さらに、緑内障が発見された患者さんのうち無自覚で受診していない方は、正常眼圧緑内障で約95%、緑内障全体で約90%であることが明らかになっています。
緑内障は推定患者数が400万人ですが、未だ治療を受けていない緑内障患者さんが多数潜在していることが明らかになり、検診の重要性が示されています。
緑内障が中途失明原因の第1位になってしまう原因は、多くの場合が自覚症状に乏しく、発見が遅れるためといわれています。視野が欠ける、見えにくいなどの症状を自覚し受診したときは、すでに発症してから何年もの長期間が経過し失明に近い状態であることもあります。
また、日常生活では両眼で見ているため、片方の目の視野障害を反対の目が補います。さらに脳には、全容は明らかになっていませんが視野障害を補う特殊な機能があり、それらにより視野障害が後期になっていても気が付かない可能性があります。このことから、緑内障は厄介であり、注意するべき病気です。
緑内障の正確な診断は、視力や眼圧検査のみでは難しいため、眼底検査や可能なら病院で視野検査を受けることが必要です。早期発見のためには、少なくとも健診における眼底検査は必須と考えます。
網膜の断面像が撮影できる画像検査。緑内障で障害される網膜神経線維層の厚みも測定できる。
日本眼科医会研究班事業による調査で2008年の法改正により、それ以前の基本健診(基本健康診査)の時代より眼底検査を受ける機会は、激減しています。眼底検査を含む成人眼科検診を実施している自治体は少なく、また職場健診(健康診断)でも視力検査は含まれますが、眼底検査は必須ではありません。
早期発見が重要な緑内障にとって、眼科検診の重要性は計り知れません。現実的にはさまざまな制約があり、普及していないのが現況です。
緑内障は、発症していても自覚症状に乏しいことが最大の特徴です。早期発見し治療に取りかかることができれば失明を回避できることも多く、40歳を過ぎたら積極的に目の総合的な検査を受けることをお勧めします。詳しくは記事5『緑内障による失明予防には40歳からの定期的な検査が重要』ご覧ください。