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ドライアイとは?

最近になって、ドライアイという言葉が一般的に認知されるようになりました。

ドライアイとは、直訳すると「目が乾燥している」という意味になりますが、日本のドライアイ研究会では、ドライアイを「さまざまな要因による涙液及び角結膜上皮の慢性疾患であり、眼不快感や視機能異常を伴う」と定義しています。ドライアイとは具体的にどのような病気なのでしょうか? 慶應義塾大学医学部眼科教授の坪田一男先生にお話しをお聞きしました。

ドライアイは単純に目が乾燥する症状を表すだけと思っている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ドライアイは視力そのものにも影響を与えることが分かっています。

「視力に影響を与える」というのを具体的に挙げていくと、なんとなく見にくい、かすむ、ぼやけるなどです。よく見えるときもあるけれど夕方になるとかすむなど、視力が安定しないこともが特徴として挙げられます。

ドライアイによる視力低下のメカニズムは以下のとおりです。

人はまばたきのたびに目の表面に涙の層をつくり、目の表面をつるつるしたきれいな曲面に仕上げます。涙はカメラのレンズの一部としての役割を果たしているのです。しかし、ドライアイの患者さんは涙が少ないか、あるいは涙の安定性が悪く、目の表面がでこぼこになります。でこぼこの状態になったレンズでは光の乱反射が起こってしまいます。そのため、まばたきをした直後は一瞬よく見えるものの、涙の層が崩れていくと同時に焦点が合わなくなり、徐々に見にくくなってしまうのです。

しかし一般の視力検査では一瞬の視力を測定するため、正常と診断されることがほとんどです。つまり時間経過をともなった視力の状態を診ないと、ドライアイによる見にくさは診断することが難しいのです。

ドライアイと涙はきっても切れない関係にあります。涙の機能は主に以下の5点です。

●レンズとしてピントを結ばせる

●細菌から目をまもる

●ゴミやアレルギー抗原を洗い流す

●涙の中にある栄養素を目に補給する

●眼の表面にある活性酸素を除去して取り除く

ドライアイの原因は涙の量ももちろん重要ですが、涙の安定性も非常に大きく寄与しているといえるでしょう。

目の表面を潤す涙は、実は三層構造になっています。外側から順に、油層・涙液層・ムチン層、そして角膜につながります。油層は涙の蒸発を防ぐ役割を果たしています。涙液層は目を乾燥から守り、角膜に必要な栄養素を多量に含んでいるのが特徴です。ムチン層は主に結膜の「ゴブレット細胞」というところから分泌され、涙を目の表面に定着させています。

これらのいずれかひとつでも不足して涙のバランスが崩れると涙の安定性が低下し、涙が目の表面に定着しません。このような現象が起こることによって目の不快感や視覚への影響が生じます。

 

*本記事は坪田先生の著書「10秒間まばたきせずにいられますか?」を参考にしています。こちらもご参照してみてください。