声帯にできる疾患のひとつ・ポリープ様声帯は、喫煙が大きく関与する声帯の病気です。ポリープ様声帯の手術はどのように行われるのでしょうか? 山王病院東京ボイスセンター長の渡邊雄介先生にお話をお聞きしました。
ポリープ様声帯とは、声帯全体がむくみ、腫れあがった状態になる病気です。声帯ポリープと声帯結節は声帯の一部分が腫れたりこぶになったりする病気ですが、こちらの病気では声帯全体が侵されてしまいます。多くの場合は声帯の両側に生じ、声帯ポリープ様変性と呼ばれることもあります。
この原因はのどの酷使との関連にはなく、喫煙が大きく関与していると考えられています。
症状は、声枯れ(嗄声)のほか、のどの違和感や乾燥感などの症状を訴える患者さんも多いようです。間接喉頭鏡検査や喉頭ファイバースコープ検査で声帯を観察することで簡単に診断できます。
ポリープ様声帯の治療は以下のとおりです。
喫煙している患者さんの場合、まずは禁煙を徹底していただきます。これだけでも声帯の腫れが軽度であれば治ってしまうこともあります。その他には、消炎薬の投与やステロイドホルモンの吸入治療を行います。
それでも症状が進行する場合や治らない場合は、声帯粘膜化の腫れあがった組織を取り除く手術を行います。
手術は原則として入院が必要です。全身麻酔下に、喉頭顕微鏡下手術(ラリンゴマイクロサージェリー)を行います。
また、喫煙歴がある方の場合は、病理検査で患部が悪性化していないかチェックします。ポリープ様声帯からがんが見つかる可能性もゼロではありません。実際、東京ボイスセンターで手術する年間200~250例のうち、0.5%の確率でがんが見つかることがあります。ですから喫煙者の方は、声帯の病変が見つかった場合であれば常にがん検診をしていただきます。
ポリープ様声帯の手術も声帯ポリープ手術と同様に、手術の後は傷口が開かないよう、一般的には1週間程度、沈黙期間を設けます。3日程度の施設もあります。
また、声枯れなどの症状が2週間以上改善しない場合は、念のため耳鼻咽喉科にかかるようにしましょう。特にヘビースモーカーだった方は、定期的な診断をする必要があります。
入院期間は声帯ポリープと声帯結節に同じく、通常で3~5日間です。ただし、前述したように、退院後も声帯の傷の安静のため、1週間程度の沈黙期間を要します。