アレルギー性鼻炎の症状は風邪のひきはじめの症状とよく似ていますが、原因は全く違うものです。くしゃみや鼻水といった症状が続く場合には一度検査をして原因を明らかにすることが治療への第一歩となります。ここからは、アレルギー性鼻炎の検査や診断がどのように行われるのか地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪はびきの医療センター 耳鼻咽喉科 主任部長の川島佳代子先生にうかがいました。
アレルギー性鼻炎の疑いがある場合、まずは鼻炎の症状がアレルギー性であるかどうか判断をする検査を行います。その後アレルギー性と診断された場合には、原因となる抗原の検査を行います。アレルギー性鼻炎の主な検査方法としては以下の方法があります。
・血中好酸球数:血液中の好酸球数を調べます。アレルギー性疾患である場合好酸球値が増加する傾向にあります。
・血中総IgE値:総合的なIgE値を測り、アレルギー性の疾患であるか判断を行います。高値を示した場合、アレルギー疾患が疑われます。
・特異的IgE抗体測定:ハウスダストや花粉などに反応するIgE抗体がどれぐらいあるかなど、原因物質の特定を行います。
鼻汁を綿棒で拭い、スライドガラスにのせて顕微鏡で好酸球数を計る方法です。ただし、好酸球を多く発見できたからといって、必ずしもアレルギー性鼻炎と診断できる訳ではありません。
抗原のリスクを下鼻甲介(鼻の穴の中の部位)の粘膜にのせ、くしゃみや鼻水といった症状を誘発できるかを確認する、耳鼻科でよく行われるテストです。
5分以内にかゆみ・くしゃみ・鼻汁・鼻閉のうち2つ以上があれば陽性となります。
ただし現在、テストに使える抗原はハウスダストとブタクサの2種類のみです。
・プリックテスト:抗原溶液を針で傷つけた皮膚にたらし、15分後に同部の腫れ・赤みの有無を判定します。
・皮内テスト:抗原溶液を前腕に皮内注射し、皮膚の赤くなった面積や状態で判定します。
その他にも、副鼻腔X線撮影などの検査方法があります。
上記の検査のうち2つが陽性であれば診断が可能でとされています。しかし、鼻誘発テストなどをみても、検査によっては誰でも行えるものではないため、まずはしっかりと問診を行うことが大前提となります。
問診では主に年齢・性・職業・症状の種類・程度・発症年齢・好発時期・合併症・アレルギー既往歴・家族歴・過去、現在の治療歴と経過、などを詳しく聞きます。
問診を行い、アレルギー性鼻炎が疑わしいと判断された場合、血液中のIgE測定、もしくは皮膚テストを行い診断する方法が多いです。
また問診だけでなく視診(鼻鏡検査)で鼻の粘膜の色調、鼻汁の正常をみることである程度の判断が可能となります。