アレルギー性鼻炎の代表的な原因は、「スギ」と「ダニ」ですが、その他にも飼っているペットの毛が原因となってしまうこともあります。アレルギー性鼻炎の症状は原因となるものとの接触で起こるので、どんな原因があるのかを知っておくことはとても大切です。ここでは、アレルギー性鼻炎の原因について地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪はびきの医療センター 耳鼻咽喉科 主任部長の川島佳代子先生にうかがいました。
アレルギー性鼻炎は、「抗原」とそれに対抗する「抗体」の働きによって症状が起こります。そのため、抗原に触れる機会が多いほど、アレルギー反応が起こるリスクが高くなるといえます。抗原となる物質は様々で、私たちの生活の中でも身近なものが多いです。
通年性アレルギー性鼻炎の原因には、ダニ・動物の毛やフケ・蛾や昆虫などがあります。また、ダニ・フケ・カビなどを含むハウスダストも原因の一つと言えます。その中でも、一番問題となっているのが「ダニ」です。
季節性アレルギー性鼻炎の原因となる花粉は、国内だけでも約60種類あるといわれています。中でも圧倒的に多いのはスギとヒノキの花粉です。
地域によって花粉量には差がありますが、スギへの感作がある場合、ほとんどの方がヒノキへの感作も起こるため、およそ2か月程度影響を受けます。
また、秋にはイネ科やキク科の花粉も出てきますが、こちらは飛散量があっても飛散の範囲が少ないため、これらの植物に近寄らなければ影響は少ないといわれています。
その他では、東北や北海道に多い「シラカンバ(白樺)」の花粉に感作されると、鼻水やくしゃみといった代表的な症状に加えて、「口腔アレルギー症候群」を発症するといわれています。
口腔アレルギー症候群は食物アレルギーの一つですが、花粉の抗原と野菜や果物などの抗原に共通する抗原分子によって生じるものだと考えられています。
そのためシラカンバの花粉に陽性である方は、リンゴ・キウイ・メロンなどを食べると唇が腫れたり、かゆみが出たりします。
花粉症の抗原には地域性があるので、どのような抗原があるのか・いつ頃飛散するのか・地域によって花粉の種類がどう違うのか、ということをよく知っておくほうがよいでしょう。
食物アレルギーやアレルギーマーチ(アトピー素因のある人に、アレルギー性疾患が次から次へと発症してくること)のような場合は、元々体質のベースに遺伝的な要素があると考えられます。
しかしスギ花粉症などの場合は、必ずしも遺伝的な要素があるわけではありません。遺伝的な要因よりもどちらかといえば環境的な要因が大きいと考えられており、環境要因としては以下のようなものがあげられます。
飛散する花粉の量だけでなく、こうした環境要因、また疲労など体調の面が影響して症状を増悪させるということが考えられています。
また特殊な例として、ペットショップなど動物を扱う職業の方や小麦などを扱う職業の方が鼻炎や喘息といったアレルギー反応を起こす場合もあり、職業がアレルギー性鼻炎を起こすリスク因子となるケースもあります。