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喉頭とは? 喉頭の位置と役割

喉頭は、頸部にある器官のひとつですが、具体的な位置やその役割についてご存知の方は多くないのではないでしょうか。実はこの喉頭、空気を気管に運ぶための通り道であり、発声・嚥下する際にも欠かすことのできない重要な役割を果たしているのです。今回は、喉頭の概要とその役割、そして喉頭に起こりうる様々な病気について、東京医科大学耳鼻咽喉科学分野主任教授の塚原清彰先生にお話をお伺いしました。

 

 

人ののどは喉頭(こうとう)と咽頭(いんとう)のふたつの器官から成り立っています。私たち頭頚部外科が扱う人間の頸部を縦に割ったとすると、後ろ側が咽頭です。一方、前側は鼻腔、口腔、そして喉頭が位置しています。また、この他に唾液腺、顎下腺、副鼻腔などが含まれます。

喉頭は気道につながっており、空気が体内に入っていく道筋のスタート地点と呼べます。その内側は粘膜でおおわれており、構造は軟骨質で、空気の通り道となります。喉頭は甲状軟骨、輪状軟骨、喉頭蓋軟骨、各一対の披裂軟骨、小角軟骨、楔上軟骨の9つの軟骨から成り立ち、人体がこれらの各軟骨を連結しています。

喉頭は、下咽頭の前方、そして気管の上部に存在します。甲状軟骨(こうじょうなんこつ)の一部はいわゆる「のど仏」です。また、喉頭の中には左右一対の声帯があり、声の音源となります。楽器でいえば弦の役割です。そのため、声帯も喉頭の一部ということができます。

喉頭の働きは、発声・嚥下障害(誤嚥)の防止・気道確保の3つが主です。

喉頭に付属した左右一対の声帯が振動することで発声できます。声帯は通常の呼吸をしているときは開いているのですが、発声の際には肺から送り出された呼気(吐き出す息)によって適度な加減で声帯が閉じます。この閉じた声帯が震えることで、私たちは声を出しているのです。

のどは空気の通り道であると同時に、食べ物や飲み物の通り道でもあります。喉頭は、喉頭蓋という蓋のような役割を果たす部分を持っています。食べ物を飲み込むときには喉頭が上前方に引きあがることで喉頭蓋が蓋となり、また声帯が閉じ、気管に飲食物が流入するのを防いでくれます。これにより、食物が喉頭を通して気管に入ってしまうことがなくなります。

前述のとおり、喉頭は気管や肺へとつながっているため、空気の通り道(気道)の玄関としても役割を果たします。

喉頭に発生する病気には、様々なものがあります。具体的には、急性喉頭炎、慢性喉頭炎、急性喉頭蓋炎、喉頭乳頭腫、喉頭軟化症、急性声門下喉頭炎、声帯ポリープ、声帯結節、そして喉頭がんなどです。なかでも喉頭がんは、重症化すると発声・呼吸が困難になり、生命にかかわる危険性がある、注意しなければならない病気といえます。ただし、喉頭がんであったとしても早い段階で適切な治療をすれば予後(治療後の経過)は必ずしも悪くありません。