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滲出性中耳炎の治療

「滲出性中耳炎とは」においては、滲出性中耳炎とはどのような状態を指すのか、原因はどこにあるのか等についてご説明しました。

小児滲出性中耳炎の診療ガイドライン策定に尽力された耳鼻咽喉科医師のひとりである、東京北医療センターの飯野ゆき子先生に、滲出性中耳炎の治療についてうかがいました。

滲出性中耳炎の治療の流れについては、日本耳科学会・日本小児耳鼻咽喉科学会による「小児滲出性中耳炎診療ガイドライン 2015年版」に示されています。

小児の場合、発症3カ月までは自然に治ることも少なくないため、それまでは保存的治療で経過を観察します。

副鼻腔炎を併発している場合には鼻ネブライザー(吸入器)や鼻の処置に加え、少量のマクロライド薬を長期投与するマクロライド療法が有効です。

アトピー素因があるお子さんの場合にはステロイドの鼻噴霧薬や抗アレルギー薬の投与を考慮します。

また、大人にみられる好酸球性中耳炎にはステロイドを鼓室内に注入する治療が有効です。手術は完治することが難しく再発も多いため、基本的には行いません。ステロイドを使う場合には、通常は全身投与ではなく局所に使用することが多くなっています。

診療ガイドラインのアルゴリズムに示されているように、症状が3ヶ月以上長引いていて中等度以上の難聴(日常会話がやや不自由:40デシベル以上)があり、鼓膜の病的変化がみられる場合には、鼓膜換気チューブ留置術を検討します。

また、アデノイド増殖症(のどの奥の両側にある咽頭扁桃と呼ばれる器官が大きいこと)による上気道炎や睡眠時呼吸障害があれば、アデノイド切除を行うこと検討しますが、ガイドラインにも示されているように、現在はアデノイドの切除を単独で行うことはありません。

中耳・耳管およびアデノイドとの関係

手術治療の方法は大きく分けて2つあります。ひとつは鼓膜切開術、もうひとつは鼓膜換気チューブ留置術です。鼓膜切開術はその名の通り鼓膜をメスで切開して貯留液を出すものですが、切開したところはすぐ閉じるので、長期の効果は望めません。鼓膜換気チューブ留置術は陰圧になっている中耳と外部の圧を平衡(バランスがとれた状態)にして、耳管から中耳に溜まった液が排出されやすくすることが目的となります。くわしくは関連記事「中耳疾患の手術治療」をご参照ください。